file.735;『自⇔非』


20081227


        私の世界には、欲しか無かった。
        後ろめたさよりも、目新しいモノを追いかけた。

        私の世界には、音しか無かった。
        暗い夜に眠るよりも、
        喧騒に包まれた昼寝の方が安息を得られると知った。

        私の世界には、自我しか無かった。
        他の誰も寄せ付けない、そんな部屋に閉じ篭った。

        小さな物音がする。
        角部屋なのに、4階なのに、窓を叩く音。
        コツコツ…コツコツ……。
        或る日、私の世界に「非我」が遣って来た。



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